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体調・場面に応じた福祉用具の使用で転倒がなく外出が可能となった事例 


70歳代。女性。一人暮らし。要介護2。疾患名は左外傷性大腿骨頭壊死、人工骨頭置換術後。2型糖尿病。強制的な固執傾向で衝動的に自身の能力以上のことをしてしまうことが多々あった。本人からは「病院や銀行など杖を使って一人で歩いて外出ができるようになりたい。」「足にマニュキュアを塗りたい。」という希望があった。

X年めまい、食思不振で入院。入院中に転倒し、左膝蓋骨骨折受傷。固定・保存治療し、約2ヶ月後退院。退院直後から訪問リハ開始。退院3ヶ月後、歩行車使用で屋外歩行自立、杖歩行見守りレベルまで回復。外出先で杖使用での歩行中にめまいがあり転倒。右坐骨骨折受傷し、保存的治療で在宅療養となる。痛みが強く歩行困難さがあったが、その2週間後に外出先で再転倒。左大腿骨頸部骨折を受傷し、入院。手術(ターゴンFN)後、約1ヶ月で退院し、訪問リハ再開。転倒なく経過していたが、左股関節痛の増強により歩行困難となり受診。左外傷性大腿骨頭壊死の診断で再々入院。人工骨頭置換術施行後、約2ヶ月で自宅退院し、訪問リハ再開となる。

左外傷性大腿骨頭壊死術後の開始時の状態は、階段昇降以外、ADL自立。室内伝い歩き。シャワー浴自立。掃除・洗濯・調理自立。買い物はヘルパー支援であった。屋外の歩行は歩行器を使用でも不安定さがあり、一人で歩いて外出ができないことや股関節周囲筋の筋力低下、股関節可動域制限により足爪にマニュキュア液を塗ることができない状態であった。

性格面として、自律心が強いこと、オシャレすることが好きである。環境面として徒歩圏内(500m)に通院先の病院や銀行、コンビニエンスストアなど必要施設がある。人的環境面として近所に友人がおり、たびたび交流の機会がある。

長期目標として、友人と外出をしたり、交流を持ちながら、自宅で生活が続けられる。

短期目標として、①徒歩圏内にある外出先(病院、銀行、郵便局、コンビニ等)まで一人で歩いて出かけられる。②左股関節の脱臼に注意し、ペディキュア(足爪マニュキュア)ができて、オシャレを楽しむことができる。③入浴が一人でできる。   

転倒予防・身体機能向上として、運動療法(関節可動域・筋力強化・バランス練習など)実施。並行して、現状の機能・能力の意識付けをリハ実施の中でその都度説明し、現状の能力や体調、外出先に合わせ歩行補助具(歩行車or杖)を選択・使い分けの判断ができるように外出先までの歩行練習や外出先を想定した階段昇降練習を実施した。

ペティキュアができるように股関節脱臼肢位を避けた足爪へのリーチ動作練習や自助具を作成し、使用方法の練習を行った。

冬季に向け、浴槽浴ができるように股関節脱臼肢位に配慮した入浴動作の練習を行った。

ADL・IADL面では冬季に一人で浴槽浴が可能となった。また、杖を使用し、通院や銀行、コンビニなどへ自身で歩いて外出が可能となった。さらに、ヘルパーと一緒に数年ぶりにお墓参りをすることができた(3階分の階段昇降必須)。余暇面では関節可動域改善、筋力向上により、自助具不要となり脱臼なく、足爪にマニュキュア液を塗りオシャレを楽しむことができるようになった。最初の入退院から約1年後に願いが叶い、訪問リハは終了となった。

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